「自分のパスワードは、数字とアルファベットを組み合わせているから大丈夫」
「サイトごとに違うパスワードを使っているから安全なはず」
――本当に、そう言い切れるでしょうか?
今回はパスワードではセキュリティーが守れなくなってきた事とその対策についてお伝えします。
Googleアカウントのパスワードは安全でなくなった!
ニュースで毎日のように報道される、個人情報の流出事件。
その多くは、私たちが普段何気なく使っている「パスワード」が狙われています。
巧妙化するサイバー攻撃の前では、どれだけ複雑なパスワードを設定しても、もはや十分なセキュリティとは言えません。
この危険な状況に対し、
ついにGoogle自身が「パスワードの時代を終わらせる」と宣言。
私たちユーザーに、パスワードに代わる標準的なログイン方法として利用を強く推奨しているのが
次世代の認証技術「Google パスキー」なのです。
パスキーは、あなたのスマートフォンが持つ指紋認証や顔認証といった、世界に一つだけの“しるし”を鍵にする技術。
パスワードのように覚えたり、入力したりする必要がなく、流出や使い回しの心配もありません。
この記事では、
- なぜ、あなたのパスワードが今すぐ見直すべき「危険」な状態なのか
- Googleパスキーが、いかに安全で便利な解決策なのか
- 【図解】誰でも3分でできる、機種別(iPhone/Android/PC)の具体的な設定方法
これら全てを、専門用語を極力使わずに分かりやすく解説します。
さあ、この記事を最後まで読んで、パスワードの不安から解放され、安全で快適なデジタルライフへの第一歩を踏み出しましょう。
なぜ従来のパスワードは危険?Googleパスキーが推奨される3つの理由
「Googleアカウントのパスワードは安全でなくなった!」で触れたように、パスワードはもはや安全とは言えません。
では、具体的にパスワードの何が、どのように危険なのでしょうか。
私たちが気付かないうちに忍び寄る、主な3つのリスクを解説します。
理由1:一つの流出が連鎖する「使い回し」のリスク
「Aというサイトで使っていたパスワードが、Bという全く別のサービスへの不正ログインに使われてしまった」
これは「リスト型攻撃」と呼ばれる、非常に一般的なサイバー攻撃の手口です。
どこか一つのサイトから流出したIDとパスワードのリストを使い、他のあらゆるサイトでログインを試すため、あなたがもし複数のサービスで同じパスワードを使い回していたら。
SNSアカウント、ネットショッピング、そして銀行口座まで、被害が連鎖的に拡大する恐れがあります。
「サイトごとに違うパスワードを」と言われても、すべてを覚えるのは至難の業。
この「使い回し」の誘惑こそ、パスワードが抱える最大級の脆弱性なのです。
理由2:見抜けないほど巧妙化する「フィッシング詐欺」のリスク
「Googleや銀行からのお知らせ」を装ったメールやSMSで偽サイトに誘導し、パスワードを入力させて盗み取る。
これが「フィッシング詐欺」です。
近年その手口はますます巧妙になり、本物のサイトとの見分けは専門家でも困難なレベルになっています。
どれだけ注意していても、たった一度のミスでアカウントが乗っ取られてしまう危険と、私たちは常に隣り合わせなのです。
理由3:安全なほど覚えられない「記憶」のジレンマ
安全性を高めるためには、パスワードは「長く」「複雑で」「サイトごとに違う」ものが推奨されます。
しかし、Jk#pZ5!v8@q
のようなパスワードを何十個も記憶し、正確に入力するのは現実的ではありません。
その結果、私たちは覚えやすい単純なパスワードに頼ったり、メモに書き残して物理的な盗難リスクを生んだりと、
結局は安全性を自ら損なうという本末転倒な状況に陥りがちです。
これらのリスクは、私たちの不注意だけが原因ではありません。
パスワードという「知識として記憶し、手で入力する」仕組みそのものが抱える、構造的な問題なのです。
だからこそGoogleは、この根本的な問題を持たない新しい認証方法、「パスキー」への移行を強く推奨しているのです。
Googleパスキーとは?パスワードを不要にする次世代の認証技術
前の章で解説した、パスワードが抱える数々の危険性。
これらの問題を根本から解決するために登場したのが「Google パスキー」です。
そもそもGoogleパスキーとは?
一言でいうと、パスキーは「あなた自身が鍵になる」仕組みです。
パスワードのように「記憶する文字列」ではなく、
あなたのスマートフォンやPCに搭載されている指紋認証・顔認証といった生体認証、
または画面ロックのPINコードを使って本人確認を行います。
つまり、ログインのたびに複雑なパスワードを思い出し、打ち込む必要はもうありません。
いつもスマホのロックを解除するのと同じ感覚で、ウェブサイトやアプリに安全かつ一瞬でログインできるのです。
[内部リンク想定] ※パスキーがなぜ安全なのか、その技術的な仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事(クラスター記事①:仕組みと安全性)をご覧ください。
パスキーが安全な3つの理由(メリット)
パスキーは、先ほど挙げたパスワードの3つのリスクを、以下のように見事に解決します。
- フィッシング詐欺を完全に無効化
パスキーは、ウェブサイトのアドレスと紐付いて保存されます。
そのため、本物そっくりの偽サイトに誘導されても、パスキーが動作することはありません。
これにより、フィッシング詐欺のリスクを原理的にゼロにできます。 - サーバーから情報が流出しても安全
パスキーの情報は、サービス提供側のサーバーには保存されません。
あなたのスマホやPCの中だけで安全に管理されるため、万が一サービス提供元のサーバーが攻撃されても、あなたのログイン情報が流出する心配はありません。 - 「使い回し」が起こらない
パスキーは、サービスごとに自動的に固有のものが作成されます。
あなたがパスワードのように「同じものを使い回す」ということが構造上できないため、一つのサービスからの情報流出が他のサービスに波及するリスクを断ち切れます。
設定前に知っておくべき注意点(デメリット)
もちろん、パスキーは完璧な技術というわけではなく、いくつか知っておくべき注意点もあります。
- デバイスへの依存
スマホの紛失や故障時には、ログインが少し面倒になる可能性があります。(※復旧方法はあります) - 機種変更時の手間
機種変更の際には、新しいデバイスでパスキーを再設定する手間が少しだけかかります。 - 対応サービスの普及度
非常に便利なパスキーですが、まだ全てのウェブサイトやアプリが対応しているわけではありません。
> [内部リンク想定] ※デメリットや、エラーが出た時の対処法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事(クラスター記事②:メリット・デメリット)をご覧ください。
【機種別】Googleパスキーの設定方法|iPhone/Android/PCの手順
パスキーの便利さと安全性がわかったところで、いよいよ設定方法を見ていきましょう。
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。
実際は3分もあれば完了します。
どのデバイスでも、基本的な流れは同じです。
- Googleアカウントのセキュリティページにアクセスする
- 「パスキーを作成」を選択する
- 画面の指示に従って本人確認を行う
たったこれだけです。
では、お使いのデバイスごとに具体的な手順を解説します。一緒に操作してみてください。
iPhoneでの設定手順
- Safariなどのブラウザで、Googleアカウントページ(myaccount.google.com)にアクセスします。
- 画面上部のメニューから「セキュリティ」タブをタップします。
- 少し下にスクロールし、「Googleへのログイン方法」という項目の中にある「パスキー」をタップします。
- 青い「パスキーを作成」ボタンをタップし、確認画面で「続行」を選択します。
- 画面の指示に従い、Face IDまたはTouch IDで本人確認を行えば完了です。「パスキーが作成されました」と表示されます。
Androidでの設定手順
- Chromeなどのブラウザで、Googleアカウントページ(myaccount.google.com)にアクセスします。(または、スマホの「設定」アプリ →「Google」→「Googleアカウントの管理」からもアクセスできます)
- 画面上部のメニューから「セキュリティ」タブに移動します。
- 「Googleへのログイン方法」という項目の中にある「パスキー」をタップします。
- 青い「パスキーを作成」ボタンをタップし、確認画面で「続行」を選択します。
- 画面の指示に従い、指紋認証や顔認証、PINコードなどで本人確認を行えば完了です。「このデバイスでパスキーが作成されました」と表示されます。
PC(Windows/Mac)での設定手順
- Chromeなどのブラウザで、Googleアカウントページ(myaccount.google.com)にアクセスします。
- 画面左側のメニューから「セキュリティ」をクリックします。
- 「Googleへのログイン方法」という項目の中にある「パスキー」をクリックします。
- 青い「パスキーを作成」ボタンをクリックし、確認画面で「続行」を選択します。
- お使いのPCに設定されている本人確認方法(Windows Helloの指紋/顔認証/PIN、MacのTouch ID/パスワードなど)が求められます。指示に従って認証を行えば完了です。
> [内部リンク想定] ※画像付きでさらに詳しい手順を見たい方や、「設定できない」とお困りの方は、こちらの記事(クラスター記事③:設定方法)で詳しく解説しています。
Googleパスキーの基本的な使い方|PC・スマホでのログイン方法を解説
無事にパスキーの設定が完了したところで、早速その使い方を見ていきましょう。
パスワードのように何かを記憶したり入力したりする必要は一切ありません。
ログインが驚くほど快適になりますよ。
主な使い方は、大きく分けて2つのシーンがあります。
① いつも使っているデバイス(スマホ・PC)でのログイン方法
パスキーを設定した、まさにそのデバイス(あなたのスマホやPC)でGoogleにログインする際の使い方は、驚くほど簡単です。
- Googleのログイン画面で、自分のアカウントを選択します。
- すると、パスワードの入力欄は表示されず、代わりにデバイスのロック解除(指紋認証、顔認証、PINコードなど)が求められます。
- 画面の指示に従って認証をクリアするだけ。
これだけで、瞬時にログインが完了します。
もはや「ログイン操作をしている」という意識すらないかもしれません。
② スマホを“鍵”にして、他のデバイス(PCなど)にログインする方法
こちらがパスキーの真骨頂とも言える使い方です。
例えば、外出先のPCや、普段使っていない家族のPCで自分のGoogleアカウントにログインしたい、といった場面を想像してみてください。
- ログインしたいPC側でGoogleのログイン画面を開き、自分のメールアドレスを入力して「次へ」をクリックします。
- パスワード入力は求められず、「パスキーを使用して本人確認を行ってください」といった画面が表示されます。
- PCの画面にQRコードが表示されます。
- ここで、パスキーを設定済みのスマートフォンを取り出します。カメラアプリでPC画面のQRコードを読み取ってください。
- スマホ側の画面に「Googleにログインしますか?」といった確認メッセージが表示されるので、「続行」などをタップします。
- 最後に、スマホ側で指紋認証や顔認証を行えば、PC側の画面が自動的に切り替わり、ログインが完了します。
この方法なら、ログイン先のPCに一切パスワードを打ち込む必要がありません。
そのため、共用のPCなどでも極めて安全にログインできるのです。
> [内部リンク想定] ※パスキーの名前を変更したり、一覧を管理する方法など、さらに詳しい使い方についてはこちらの記事(クラスター記事④:使い方)で解説しています。
Googleパスキーのよくある質問|機種変更・削除・エラー時の対処法
ここまでで、パスキーの設定から使い方までご理解いただけたかと思います。
最後に、多くの方が疑問に思うであろう点について、Q&A形式でお答えします。
Q. 機種変更するときはどうすればいい?
ご安心ください。
パスキーはスムーズに新しいスマートフォンに引き継ぐことができます。
多くの場合、iCloudキーチェーンやGoogleパスワードマネージャーが有効になっていれば、新しいスマホでGoogleアカウントにログインするだけで、パスキーは自動的に同期・移行されます。
もし自動で移行されない場合でも、古いスマホが手元にあれば、それを使って新しいスマホで再度パスキーを作成するだけです。
ただし、スマホを下取りに出したり処分したりする前には、必ず新しいデバイスでGoogleにログインできることを確認しておきましょう。
[内部リンク想定] ※詳しい手順やOSごとの注意点は、こちらの記事(クラスター記事⑤:機種変更・紛失)で詳しく解説しています。
Q. パスキーを解除・削除したいんだけど…
はい、いつでもご自身で削除できます。
Googleアカウントのセキュリティ設定にある「パスキー」の管理画面から、不要なパスキーの横にあるゴミ箱アイコンをクリック(タップ)するだけで削除は完了です。
ただし、そのデバイスで使えるパスキーを全て削除してしまうと、ログインが面倒になる場合があります。
パスワードを忘れてしまった場合など、最悪アカウントにアクセスできなくなる危険もあるため、削除は慎重に行いましょう。
[内部リンク想定] ※安全に削除する手順や注意点の詳細は、こちらの記事(クラスター記事⑥:解除・削除)で解説しています。
Q. 2段階認証とはどう違うの?
パスキーは、2段階認証の「次の世代」に位置する、より安全で簡単な認証方法です。
- 2段階認証は
「①パスワード」と「②スマホに届くコード」など、2つの要素で認証する“強化された”パスワード認証です。
土台にはフィッシング詐欺に弱いパスワードが依然として存在します。 - パスキーは
パスワードそのものを使いません。
スマホの生体認証など、デバイスに紐付いた情報だけでログインする全く新しい仕組みです。
そのためフィッシング詐欺に強く、ログインも一瞬で完了します。
簡単に言うと、
2段階認証は「鍵を2つに増やす」対策、
パスキーは「絶対に複製できないハイテクな鍵に交換する」対策、
というイメージです。
[内部リンク想定] ※両者の技術的な違いについては、こちらの記事(クラスター記事①:仕組みと安全性)で詳しく解説しています。
【まとめ】Googleパスキーとは?パスワードは危険!【iPhone/Android/PC】機種別の設定方法
お疲れ様でした。
この記事では、従来のパスワードが抱える深刻な危険性と、それに代わる次世代の認証方法「Googleパスキー」について、設定から使い方まで詳しく解説してきました。
重要なポイントをもう一度振り返りましょう。
- 従来のパスワードは、使い回しやフィッシング詐欺のリスクと常に隣り合わせであること。
- Googleパスキーは、あなたの生体認証などを使い、それらのリスクを根本から解決する安全な仕組みであること。
- 設定は3分で完了し、毎日のログインが驚くほど安全で快適になること。
もう、サービスごとに違う複雑なパスワードを必死に思い出したり、情報流出のニュースに怯えたりする必要はありません。
パスキーが、あなたをそのストレスから解放してくれます。
さあ、理論はもう十分です。
次に行動するのは、あなたの番です。
今すぐ、あなたのGoogleアカウントをパスワードのいらない未来へアップデートしましょう。
設定は、以下のGoogle公式ページから、この記事で解説した手順に沿って進めれば、すぐに完了します。
>> Googleアカウントのセキュリティ設定に進む (ここに https://myaccount.google.com/security
へのリンクを設定)
安全で快適なデジタルライフは、もう目の前です。
それではご検討を祈ります。
ここまで読んで頂きまして誠にありがとうございました。
嬉しい楽しい、ついてます。
感謝
泉水善光