私は元魚屋なので秋鮭については良く知っています。
さて、この秋鮭は「あきさけ」とか「あきしゃけ(じゃけ)」と読むのが一般的の様ですが「あきあじ」と読む方々も多くいます。
市場なんかではもう完全に「あきあじ」なのです。
なぜそのような読み方をするのでしょうか。
その背景について私なりの解釈でお話します。
秋鮭は何と読むのか標準語の読み方は辞書で確認
コトバンクやgoo辞書で調べると、
「あきさけ」と記載されています。
また「あきざけ」とも読むことがあるとしています。
この中に「あきあじ」というのは載ってませんでした。
でも実際のところ魚市場でも「あきあじ」という呼び名が広く使われています。
それに北海道の方の中にも「あきあじ」と呼ぶ方も多いですよね。
「あきあじ」とは辞書になんて書いてあるのか?
では「あきあじ」を辞書で調べてみるとどうでしょうか?
コトバンクによると以下の様な記述がありました。
【秋味】という綴りです。
あき‐あじ ‥あぢ【秋味】〘名〙 秋、産卵のために河川をのぼって来る鮭(さけ)。
https://kotobank.jp/word/%E7%A7%8B%E5%91%B3-422980
どうですか。
やはり鮭だと書いてますよね。
まあ漢字は「秋味」にはなっていますが、「秋鮭」であることは間違いないようです。
結論:秋鮭と書いて「あきあじ」と読む理由はこんな感じかなと
前提条件:
日本の川を遡上(そじょう)するのは「白鮭」だけなのをご存じですか。
よく知られている「紅鮭」とか「銀鮭」は日本に帰ってくる鮭ではないのです。
それらは海外から輸入している鮭なのでした。
秋鮭というのは「国内で秋に川を上ってくる鮭」の事をいうので
日本では「白鮭」のことだけを指しています。
秋鮭 = 白鮭
「あきあじ」と読むようになった背景とは
北海道や東北地方では秋に川を上ってくるこの「白鮭」を獲って食べます。
産卵の時期は身にも栄養分として脂がのってきます。
その為に美味しさも沢山というわけです。
北海道などではソウルフードとも言われているくらいに大切な美味しいものとして大事に食されています。
この様に「秋」に「味」わって食べる「鮭」ということで「秋鮭」を「あきあじ」と呼ぶようになったのではないかと想像しています。
白鮭の特徴をもう少し詳しく説明
白鮭は日本の川で古くからとれる鮭の一種です。
春から夏にかけて海で育ち、秋になると生まれ育った川(北海道や東北地方)に戻ってきます。
元々は脂分は少ない魚なのですが、それでもこの産卵の時期には脂はのってきます。
白鮭は川を上ってくる時に体力を消耗したり体を痛めてしまいます。
遡上の時に体力が弱ってくると栄養分も使ってしまい味もだんだんと落ちてきます。
その為にまだ海の深い場所にいる遡上直前の白鮭を獲るという漁もあります。
その時に獲れる魚は川に戻る直前なので銀白色の体色をしています。
その「白鮭」は「銀毛」と呼ばれます。
身質が良いので美味しいのはもちろんですが、捕獲も難しいこともありお値段も高めで最高級とされます。