※この物語はフィクションです。科学的な要素が出てくる場合もありますが、全てが想像であり創作です。ご了承ください。
登場するキャラクター:リク→ルトーヤの民の集合体で陸上に住む。4本の足で陸上を駆け回っている。爬虫類。
クー→ルトーヤの民の集合体で空を飛ぶ事が出来る。鳥類。
【第3話】ルトーヤの民、逃げる。
陸上に住んでいたルトーヤの民の集合体リク(※1)は光と獲物を追いかけて生活していた。
地球上では光は時間と共に移動するのだ。
もとは光だけからエネルギーをとっていたリクも経験から、
光が遠ざかったら獲物を捕らえて食事をすればエネルギーが取れることを知っていた。
だから、ルトーヤの民の集合体であるリクは光を求めて移動して、日が沈むと獲物を取ってはエネルギーを貯めていたのだ。
何年か移動している間にも体は周りの環境にあわせてどんどんと変化していた。
リクの身体には最初は足というものが無かった。
蛇の様な格好である。
目の前に獲物を見つけると躊躇せずに襲いかかって獲物を食べた。
口には鋭い牙が出来ていた。
リクの仲間の中には牙から毒を出して獲物を捕らえて食べているものもいた。
その後、次第に足が出来て速く走ることも出来るようになっていった。
トカゲの様な体を持ったのである。
上手にその足を動かし陸上を走れるようになっていた。
ある日突然、上から大きなものが物凄い勢いで降りてきてリクを捕まえた。
空を飛ぶようになっていたルトーヤの民の集合体であるクー(※2)であった。
クーはリクを空から見つけて食べてしまおうと捕まえたのだ。
クーには大きな翼と鋭い爪のある頑丈な足があった。
リクをがっしりと捕まえている。
リクは逃れようとクーの足に思いきり噛みついた。
痛みと驚きでクーが足を緩めたその隙に身体をくねらせ逃れた。
クーから離れたリクは全力で走った。
地上に転がっていた大きな岩の下に入って暫くじっとしていた。
それでもクーは空から追いかけてきた。
何度も何度もリクを捕まえて食べてやろうと襲ってきた。
しかし、大きな岩がじゃまをしてリクを捕まえることは出来ない。
リクは岩の下でじっと耐えた。
辺りも暗くなってくると、とうとうクーも諦めてどこかに飛んで行った。
リクは岩の下から這い出て、また、走り出した。
辺りも暗いので獲物を探さなければいけないからだ。
今度は自分が獲物にならない様に岩の下を縫うようにして走った。
地上ではそのまま走っていると空からクーに狙われることを知ったのだ。
空からリクの事が見えなければ襲われることはない。
獲物として食われるという恐怖を知った。
リクは恐怖と一緒に隠れて逃げればよい事も知った。
この時からリクは襲われることは体が危なくなる。
それは危険だという事として記憶した。
それと一緒に危険な事が起こった時は安全な所まで逃げて身を守る事が必要だと記憶したのである。
これ以降は危険からは逃げるという行動が身についたのである。
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(※1) 第一話でルトーヤの民が身体の中に記憶したものが多く成りすぎて体が張り裂けそうになった時、
奇跡的な体の変化を起こした。次々と分裂した体は切り離れずにくっつきあって1つの個体となった。
リクの体も複数のルトーヤの民で出来ている。
(※2)リクと同様にクーもルトーヤの民の集合体である。