【第1話】奇跡の生命体
※この物語はフィクションです。科学的な要素が出てくる場合もありますが、全てが想像であり創作です。ご了承ください。
何千億年も昔、まだ宇宙が小さい頃。
宇宙には隕石が沢山飛び交っていた。
ある青い隕石と赤い隕石が衝突した時、大きな光が産まれた。
そしてその光は塊となって星が出来た。
それから数千年後、その星は光の星ブライトスターという名前で存在していた。
その星は自ら光を発していた。
そこにはルトーヤの民が住んでいた。
ルトーヤの民はブライトスターの光のエネルギーで生命を維持していた。
ある日、暗黒の流星群がブライトスターに衝突。
ブウ仆スターは粉々に破壊されてしまった。
そこに住んでいたルトーヤの民は全て居なくなった。
ブライトスターは消滅したのだ。
さらにそれから数十年が過ぎた宇宙。
そこには、燃え上がっている星があった。
まだ、出来たばかりの星、地球である。
その地球に宇宙から2粒の生命体がやってきた。
地球に小さな光の粒がふたつ舞い降りたのである。
なんと、それは消滅したはずのブライトスターの住人ルトーヤの民の生き残りの2粒であった。
彼らは光を求めて宇宙をさまよっていたのだ。
そして、見つけた。燃えて光を放っている星を。
彼らはその星を住処に決めた。
彼らは体から柔らかで穏やかな光を出し地球をつつみ込んだ。
その後、 光は何千年もの間、地球を包み込んだままであった。
ある日、数千億回目の太陽が地球を照らした時、その光は消え去り
青々とした地球が姿を現した。燃えていた地球は綺麗な青い惑星になった。
大地と海と空気のある星、地球となった。
2人は海の中にいた。まだ他に誰もいない。この広い地球にたった2人きりである。
この星は太陽の光を受けて光っていた。ラトーヤの民はその光を見失わない様に海の中を移動し続けた。
彼らの驚くべき能力の一つに記憶があった。
自分のいる場所、通ってきた道筋、景色や音等あらゆるもの全てを記憶して体の中に収めておくことが出来るのだ。
収めた記憶を思い出しては利用することが出来た。
しかも、彼らは自分の体を分裂させることによって仲間を増やした。
分裂した体は元の記憶をそのまま覚えている。
そして、それぞれの体はその記憶に新たな記憶を追加していくのである。
新たな記憶をもった体は更に分裂をおこし仲間を増やしていった。
2粒の彼らの体は青い星となった地球上では10年しかもたなかった。
時が来て、彼らは消えていった。
だが、彼らから分裂した新しい体は残った。彼らの記憶と共に。
次々と分裂を繰り返しては行動をし、新しい記憶を体に残して更に分裂を繰り返したのである。
最初には2粒だけであったが、
次々と分裂を繰り返し新しい体になる事で同じ記憶を持った仲間がとてつもなく物凄い勢いで増えていった。
10年毎に古い体は消えていき、新しい体だけが残っていった。
残っている体の中には消えていった古い体の記憶がそのまま残っている。
しかも新しい行動によって記憶が追加されていったのである。
更に分裂をおこしては仲間の数は増えていったのである。
同じ記憶を持った仲間を増やし、古い体は消え去るという繰り返しだ。
ある時、新しい体の中で記憶が一杯になって溢れそうになった。
記憶が体を内側から突き破ろうとしていた。
だが、その時、奇跡が起こった。
体がどんどんと分裂して、しかも仲同志は切り離れずにくっついたまま丨つの塊として体を大きく強くしていったのである。
大きくなった体では同じ記憶を持った仲間が協力しあい一つの命として行動をすることとなった。
その生命となった体は地球の環境に合わせてそれぞれ変化していった。
寒いところにいるものは記憶の中からそれに打ち勝つ方法を思い出し、寒さに適応出来る体を作り出すことが出来るようになった。
また、暑い場所にいるものは記憶の中から暑さに耐えられる方法を思い出して、暑さに耐えられる体を作っていった。
その繰り返しで、どんどんと体の違う仲間が増えていった。
ラトーヤの民は太陽の光を見失わない様に海の中や陸の上、空を移動し続けた。
海に住むものには尾びれが出来た。
陸に住む者には足が出来た。
空を飛ぶ者には羽が出来た。
形の違うラトーヤの民達は地球に住みついたのである。
(続く)